教育営業マンのビジネスblog

教育を売っている。教育ビジネスには、言うまでもなく、二つの軸がある。教育とビジネス。その、「ビジネス」の側面にフォーカスして語るblog。都内在住。

あくまで即決を目的とする2

先日の面談の方から、面談の翌日に
「入会をキャンセルしたい」と連絡があった。

まさか、集団塾に決めるとは思わなかった。
面談時に一緒にいたもうひとりの社員も、ありえないととても驚いていた。

正直なところ、集団の授業で勉強がわかるようになるとは思えない生徒だ。
個別指導が集団指導に比べ、絶対的に優れているとは思わない。どちらも一長一短だ。しかし、勉強が苦手であったり、質問をするのが苦手であったりする生徒にとっては、個別指導は圧倒的に相性がよい。というか、程度によっては、個別指導じゃないと成果が全く出ないとすら言える。

それがあまりに私たちにとって自明であったため、油断が生まれたと言える。

いや、集団塾を見に行くとは聞いていたので、しっかりと釘は刺しておいたのだ。絶対に個別のほうがいいですよ…と。

甘かった。
集団塾を見に行くことをやめてもらうべきだった。

面談の時点で、生徒本人はここに通いたいと言っていた。
集団を見る必要はないと言っていた。
集団塾を見たいと言ったのは母親だった。
いい人ぶって、どうぞ見てきてください〜と、甘いことを言ってしまった。

本人がここがいいと言ったのだ。
集団塾の見学はストップし、すぐにも授業を入れるべきだったのだ。

思えば、あまり自分の頭で考えることをしない母親だった。
だから、他塾を見学した後であっても、こちらの塾の情報で、考え方を「上書き」することができた。
しかし、それはとりもなおさずこちらの情報が「上書き」される可能性があるということだった。

まさに、上書きをされた。

悔しい。

明日、もう一度面談の時間をもらった。
再上書きのチャンスだ。
しかし…。
嫌な予感がする、すごくする。

それを書くと嫌な予感が実現する可能性が高まるので書かない。
明日だ。

あくまで即決を目的とする

久しぶりのブログ更新。

本日面談のご家庭。

不登校経験があり、本人はコンプレックスが強い。
何か尋ねるといつもお母さんのほうを見てから答える。
自信がなく、様々な判断を母親に委ねてきた証左。
自分は勉強ができない、という意識がとても強く、かわいそうにすらなった。

まずは仲良くなる。
お天気トーク。
雨が降っていないことは確認していたが、曇天だったので、雨は大丈夫でした?と気遣うところからスタートする。

母親主導かと思いきや、本人は一度話し始めるとつらつら話してくれる子だとわかった。もっと仲良くなりたい。

勉強から派生して、趣味の話を振ってみる。
本人の好きなことがわかった。
運良く、私の好きなことと重なりのあるカテゴリであった。会話を広げる。
頷きが増える。笑い声が起こる。
よし。

本人の警戒が少し薄れたと感じた。

価値観引き出しルーティーン。
志望校のことを聞く。公立高校志望。お金のことを気にするかもしれない。
兄弟の有無を確認。ひとりっこ。受験は初めてだ。わからないことが多い可能性がある。
話していくと、母も本人も、やはり塾の費用のことをとても気にしていた。

費用イメージルーティーン。
月々どれくらいの費用をイメージしていますかぁー。
夏期講習のみで考えている、との返答。まさか。そしてイメージしていた金額もかなり少ない。
現状から目標まで、夏だけの学習で達成できる内容では到底ない。初めての受験で、親子とも、受験のリアリティを感じられていない。

ここで注意したのは、無理です!という否定の意識を表に出さないこと。絶対に否定してはいけないと直感した。そうした瞬間、少しずつ積み上げてきた信頼は不信に変わる。先日、高校生の入会面談で失敗したばかりであった。

ここでの意識が、後あと功を奏した。
先に行った他塾では、限られた予算で「目標を達成できる」と言い切っていたらしい。明らかに無理な話で、他塾のオーバートークはもはや詐欺にしか思えなかったが、ここでこちらが正論じみた勝手な判断をぶつけていたら、顧客は可能だと言ってくれた他塾に流れていただろう。本当に危なかった。

他塾の話が出たので深掘りして聞いてみると、ディスカウントを含めかなり営業をかけられていることがわかった。もっとも、母親に営業をかけられたという意識はない。他塾のほうが、こちらよりも良い条件の授業を数多く提供できるようであった。顧客に迎合しただけの成果の望めないプランに思えたが、顧客にとってはニーズを叶えてくれる魅力的な提案に映っただろう。
ここが分水嶺だと思った。
私は面談室を出た。

もうひとりいた社員に相談する。どうすればいい?
その人の答えは、体験授業を案内することであった。即決を諦め、ファクトをしっかりとって、こちらの提案の確実性を伝えていく。時間はかかるが、他塾にかけられたまやかしを解くにはそれが確実だと。

たしかにそうかもしれないと思った。しかし、これだけ話して諦めたくはなかった。すでに、通常であれば契約を結び終わっている時間であったのに、まだクロージングすらしていないのだ。時間をかけて丁寧に進めてきたのだから、どうしても決めたかった。預かりたかった。

腹を決めた。
体験授業に流れることも覚悟したうえで、誠心誠意どうすれば成果を出せるかを伝えるしかない。

数パターンの見積もりを手に、私は面談室へ向かった。
他塾の金額から、提案した回数も大体予測がついていた。
同じ予算内に収めるばあい、コマ数では負けていた。しかし方法はある、と思った。

覚悟を決めて、ふだんは絶対に行わない他塾批判をした。

他塾さんはいい塾ですが、この回数で全科目を面倒見てここまで到達できるというのは、どう考えてもオーバートークです。

ゆっくりと、しかし一息に言った。

そして、そう判断したわけを丁寧に説明した。
自社テキストを持ち込んだ。中身を見てもらい、復習の必要なボリュームを確認してもらった。

この量を、5回の授業でわからない箇所ゼロにできそう?

スグに首を横に振る。自信のない子だから、そう答えることはわかっていた。しかし、ここまで来てやっとほっとしたのも事実…。それくらい、決死の覚悟で口にした他塾消しトークだった。

さらに信頼を確固とするために、自分の経験もたっぷりと話す。驚きながら聞いてくれた。授業見学に行く。席に座らせる。スペックの違いを見せつける。
少し嬉しそうにしながら、面談室に戻ってくれた。

やっと、やっと、即決を確信できた。

その後、さらに他塾グダが発生したものの、COルーティーンで解放。
本人の意思もあって、即決につなげられた。

終わってみれば3時間。通常の倍以上の時間をかけた。
しかし、普通なら即決にならないご家庭を即決できた。
そして何より…自分という人間全てをぶつけるような面談をし、心から預かりたいと思った子を無事に預かることができた。その満足感、達成感たるや。

しかし大切なのは、ここが始まりであること。
受験が終わったときに、今日の面談が成功だったか失敗だったか、決まる。

お手続きの前に

先日面談したご家庭の手続きを行った。

考えた結果、当塾がいいと言ってもらえた。

その場で信頼し、即決してもらえることももちろん嬉しい。
しかし、いったん考えて、悩んだ結果返事をもらえるのも、実はそれはそれで嬉しい。

今日は嬉しかった。

しかし反省もある。

手続きだ、と思っていると準備に穴が出る。特に私は何かと「準備」を軽視しがちだ。
それは顧客を舐めていることにもつながる。

今日の手続きでは、準備が不足した。
日程の候補を挙げておくのは出来たはずだ。お陰でずいぶん不要な時間を顧客に過ごさせてしまった。
これは将来の不信につながる。
また、自分自身の貴重なリソースである時間を失うことにもなる。

顧客を迎えるとき、どんな準備ができるかをもっと真剣に考えねば。
そして、実際に行動しなければ。

消耗

先週の土曜日に入会してもらった小学一年生の男の子が、昨日初授業の予定だったが、来ない。

来ない。
待っても来ない。、
電話してもつながらない。いったい…

予測の域を出ないが、保護者はじっくり決めたかったでらないか。面談にて、主人に相談しないと…という話は何度も出ていた。それをはぐらかし、うまいこと申込書に書いてもらったつもりだった。

が、来ないという事実。

通常、こういうことは少ない。来ない場合でも、連絡くらいはくれる。
その場で決めたことが、よっぽど嫌だったのか。あるいは、御主人から実際に猛烈な反対を受けたのか…。

こういうことがあると、迷いが起こる。即決が正義。本当に…?

即決できない家庭だってあるのではないか。無理を無理でなくさせるのが営業マン。しかし…。

逡巡。

そして、苦労して入会させた家庭が来ないことへの徒労感。

虚しくなる。


1日4件

しんどい一日だった…
5件の面談をこなし、うち4件が入会。
結果は良かった。

プロセスはどうだったであろうか。

1件目。
朝のアポイント。時間ギリギリに到着という愚行。既に親子が到着しており面談室にいた。

最悪のスタート。

入会したが、途中、大学受験の大変さを伝えすぎて生徒がブルーになる。完全に勉強へのテンションが消えている。
失策だったと気付き、即座に巻き返し。
安心させる言葉、励ます言葉をかける。
水泳をやっているその生徒に共感を示すため、自分の部活動経験も話す。
少しずつ、テンションが戻る。

最後は、「合宿と練習、休めるか聞いてみる。塾に行く」と言わせる。よし。

結果オーライだったが、今回の面談プロセスは要反省。テンション巻き返しに30分かかった。時間のロスだ。

2件目。
私立中学生。
これはまあ、よかったかな。冷静に対応できた。

3件目。
悪い感じではなかったが、タイムアップ。極力次回につながる面談をした。先方時間切れの場合は、仕方ない。

4件目。
生徒は、自分がありそうに見せかけて、保護者の意見にかなり引っ張られている。また、保護者の費用負担もかなり心配している。そのことに気付いてからの面談は、それほど難しくなかった。気付くまでをもう少しスピーディにできれば、ラストであんな強引な手法を使わなくても済んだであろう。
やはり面談は、顧客の心理を読むこと。これが第一歩目だ。

心理読解のトレーニングには何が最適だろうか?

クレームと入会面談

立て続けにクレームをいただく。

クレームはたいてい、ほんのささいな、しかし重要なミスが原因となる。

今回もそうであった。

似たようなことで複数の家庭からご意見を頂戴するということは、それは偶然でなく慢性的に生じている不具合であるということなわけだし、声をあげずにただ不満に思っている家庭も多くあるはずだ。

顧客に、サービスを提供するどころか、迷惑をかけている。不安を与えている。

電話が入ったタイミングもよくなかった。入会面談の最中。たまたま面談室から出てきたときに、講師が応対していた電話を受け取ってしまった。

顧客を待たせたまま、クレームへの対応。確実にこちらが悪い。しかし今は面談の最中だ。早く電話を終わらせて、面談に戻らなくては。

電話の相手へ、今面談の最中であり、面談後に必ず対応させていただく旨を正直に伝える。普段ならこんな言い方はしない。今面談中などというのは、完全にこちら側の都合であり、わざわざクレームの電話を入れてくれた相手に失礼だ。
だがこのときは頭が回らなかった。正直に言う以外の選択肢が思いつかなかった。

丁寧に切電。通話時間8分。慌てて面談に戻る。

着席し、致命的な事態に気付く。

自分の頭のなかが、クレームのことでいっぱいになっていた。目の前にいる相手のことを考えられない。考えようとしても、断続的に意識が「あちら側」に引っ張られる。

サイテーだった。ビジネスマンとしても、教育マンとしても、全く誰のためにもなれなかった。

入会するはずもない。

他の塾も見るという。
ふだんなら、ここで反対克服のトークを入れる。が、今日はできなかった。あっさりと顧客を帰してしまった。

今日、私はなにひとつその親子を惹きつけられていない。おそらく、他の塾に決めるだろう。それも、全て検討し終えて家で相談して決めるのでなく、どこかでいい営業マンに出会って、即決をするだろう。

クレームは何も生まない。

クレームをくれたその顧客への迷惑。
そこから派生する周辺業務への影響。 
クレームに集中する私の傍で、他の業務を一生懸命こなしてくれたアルバイトの部下たち。

クレームは何も生まない。

挽回し、成長するほかない。

悔しい。
もっとマシな人間になりたい。

諦めたらそこで

今日の面談は、親もとを離れて他県で高校に通う生徒の、夏期講習の相談。

正直言って、序盤から萎えてしまった。

夏期講習のみの受講では、私が欲しい数値には計上されない。

そして、私は夏期講習の数値はすでにクリアしている。

つまり、得のない顧客だった。

それでも教育マン?と私を責めるひともいるかもしれない。

堂々と応えたい。

いいえ、ビジネスマンです、と。

今ここに切り取って載せるテキストは、教育営業マンの「ビジネス」の側面のみを強調したものだ。私のなかのひとりが、ビジネス的に得がないからやめときな、と囁くのだ。
教育マンのほうの私は、どうやってあなたに貢献できるかを熱っぽく顧客に語っている。それはどちらもほんとうのこと。私のなかで同時に起こる。

話を戻す。

ビジネスマンのほうの私が、早々に「得がない」と判断した。
夏だけ実家に帰って来るのであり、今日この後も部活の合宿で八月まで東京に戻らないのだ。

どう足掻いても八月しか授業ができず、夏期講習以外の業績にはなりえなさそうである。

ビジネスマンの私は、教育マンの皮をかぶって、他の教室を案内してしまった。

忙しいなか、ふと我に返って。

しかし、やりようによっては、「生徒」にカウントできたのでは?

その方法を思いついてしまい、いたく反省する。

ビジネスマンの私が早々に切り上げた案件は、熟慮すれば、ウィンウィンな提案をつくることができたはずだ。

ビジネスマンだけに頼るとよくない。

ビジネスマンと教育マンが仲良く手をつないだときに、最高のプレゼンテーションが生まれる。それを実感した。

また、早い段階で諦めてはいけないということも、学んだ。

諦めたらそこで面談終了ですよ。

教育もビジネスも終了ですよ。

諦めたらそこで。