教育営業マンのビジネスblog

教育を売っている。教育ビジネスには、言うまでもなく、二つの軸がある。教育とビジネス。その、「ビジネス」の側面にフォーカスして語るblog。都内在住。

現場が生む広告の価値

プロの広告屋と張り合う気はない。

僕は知っている。あの人たちがどれだけ常軌を逸して知的で貪欲か。
真に知的な人間は、ただ物を知っているような顔をしない。相手を楽しませつつ、後で気付けばそこにたくさんの知が埋蔵されている。そういう仕事をする。

会話においても、そして、広告物においても。

僕がいくら言葉やデザインに時間をかけて勉強をしても、それは所詮素人の手習いの域を出ないのであって、あのひとたちの知性には及ぶべくもない。

広告物は、主に4つのものから構成される。
言葉。
絵。
写真。
デザイン。
そのそれぞれに、本来であればプロの仕事屋がいる。
それをぼくひとりで行ったのだから、その制作物は各分野のプロの仕事の集大成たる制作物に比べることはできない。

しかし、現場の営業マンがつくる広告物・販促物には、おおきく3つのメリットがあり、場合によってはプロのつくる広告物を凌駕することがある。

1つ目は、コストが低いということだ。現場に与えられる予算には、使い道の裁量が少ないか全くないことが多い。そんな状況のなかでも、自分でツールをつくればコストをかけずに武器が増やすことができる。金の話は身もふたもないが、実はこれが2つ目のメリットを生む。

その2つ目のメリットとは、トライアンドエラーが容易だということだ。部や全社規模の広告には多大な費用がかかる。だからマーケティングを行い、計算のうえで手を打つことになる。それは失敗の少ない方法だが、理屈を超えた成果を得られないというデメリットもある。
その点、現場ツールには、低予算ゆえに「思いつき」が許される。数値の検証なくいきなり「結論」を得ることができる。だから思い切った手立てを試すことができる。失敗したらやめればよく、そこにマイナスはない。
この活動を繰り返せば、ときにマーケティング活動からは生まれなかった新しい広告物や、広告物の使い方が生まれることがある。

3つ目は、現場の思いを込めることができることだ。
プロのつくる言葉は、もちろん美しい。単に美しいということでなく、コミュニケーション効率も考慮されて機能的な意味で美しい。言葉は日常で誰もが使うものなので、デザインやイラストと違って、自分にも比較的簡単に扱えるのではないかと錯覚しやすいが、短い言葉で人を動かすことは、実は大変難しい。いや、短くない言葉であっても、難しい。プロのコピーライターとは、その点においてのプロだ。だからコピーライターの書くコピーは美しい。
しかし、プロのコピーライターにないものを、現場で働く人間は持っている。顧客と直接に接し、自分の手で価値を提供し、その耳でお礼の言葉を聞いている。
顧客に伝えたい価値そのものを、私たちは持っている。プロのコピーライターは、伝えたい価値を取材や勉強によって、いわば間接的に知る。この違いは大きい。

現場営業マンがつくる広告物には、こんなメリットがある。最終的に総合的に、プロがつくるものにはかなわない。しかし価値は住み分けされている。現場の人間が小さなクリエイティブを積み上げることには意味がある。