不安の中の彷徨
現場発の営業推進ツールをつくる。
これが僕の掲げた「やりたいこと」だった。
ツールをつくるたび、チームの仲間は口々に「素晴らしいね」「活用してるよ」「ありがとう」と、僕に声をかけてくれた。
それは本当に嬉しいことで、気弱な僕に自信を与えてくれた。それがあって続けて来れた。
しかし、一方僕はいつも疑っていた。
「本当に役に立っているのか?」「僕の一人相撲ではないのか?」
もとがネガティブな性格なだけに、常に不安を抱えながら、ふらふらと前に進んできた。
ところが今日の全社会議の際、そんな僕の不安を吹き飛ばす出来事が起こった。
会議が終盤を迎えたころ、前方の大きなスクリーンに、僕の名前が表示された。
社長賞特別賞の表彰だった。
こんな表彰があるなんて聞いていない。
驚きのあまり、ぼくは呆然としてしまった。
僕がこれまでつくってきた、
「現場発の営業推進ツール」は、
多少なり皆さんの役に立つものだった。
そうだったのか、みんなの役に立つものだったのか…
数百人の社員の前に立ち、自分が何を話したか覚えていない。
ただただ嬉しかった。
暗闇の中を手探りで歩んで来たみちに、一条の光が射したようだった。
間違ってなかった。
よかった。