信頼が大前提である
当たり前のことなのだけれど、技術やノウハウ、トーク例などを学べば学ぶほど、忘れがちなことでもある。
僕は営業の仕事を始めて以来、「まだ買ってないお客様には、与えすぎるな」という指導を受けてきた。試食でお腹いっぱいになったら、モノは買わないのだ、と。
それを思いきり間に受けたワカモノは、入会面談で絶対に進路指導をしなかった。
しかし、今一度前提に立ち返る。
顧客からイエスの回答を得るには、信頼がお互いの間になくてはいけない。
信頼を築くためには、得る前に与えなくてはならない。
今日、僕が信頼を築くために与えたかったのは、「確かな提案」だった。
推薦中心に考えている女の子。成績はよいが、学校のレベルは高くない。推薦には不利だ。
一般入試への覚悟も半分くらいでいいから、持たせたかった。
落としどころはあっても、そこへの道筋を見つけられぬまま、面談が進む。打開できたのは、半分偶然だった。
話すことがなくて、進路の情報を用意しようと席を立ったときに思い立つ。推薦とAOと一般、それぞれで受けられる学校のリストを持って席に戻る。
推薦の話から始め、まずはそこで頑張ろうと伝える。そこにたっぷり時間をかけた後、一般の話。英語と現代文だけで受けられる科目がこれだけあるよ、と。現代文は小論にも役立つし、今からやっておけば最低限のセーフティネットになるよ。
このへんの話で、生徒本人が強くうなずいてくれた。それまで不安や戸惑いの表情が多かったのと対照的だ。
果たして、結果は即決であった。特段即決させることを意識した面談ではなかったが、生徒本人からのたしかな手応えのある内容で、結果として即決にできた。
信頼が前提にある。
それを目指すことは、自分のためにもなる。